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 吾輩は根暗である。職歴はまだ無い。端の多い生涯を送って来ました。――みんなが当たり前に持っている見えないモノが生まれつき持っていない「私」。たった一つだけ足りない、それだけで日常は異常を孕み始める。常識というような空漠たる概念を、どう学べばいいか知らないし分からない。けれど常識はそれを決して許さない。これはつまらない絶望と希望で構成された日々の中で「私」を考え、そして失敗するまでの軌跡譚……という執拗な説明文から筆者(LD:学習障害)の悪癖が分かる共感度0%な長文ブログです。

タグ:歌手

 休日のデパートとか出掛けると極稀に自分にとって目に留まる人を見かける。

「とても品の良い人だなぁ」
「着ている服装が素敵だなぁ」
「本当に美味しそうに食べるなぁ」

 そして私はその相手に少しだけ惹かれるのだ。

 でも、それは相手が女性にだけ起こるわけではなく男性にでも起こるし、そういう恋愛対象としてどうこう的な話ではない。普通に一人の人間として惹かれるのである。

 そういうとき、まず私は何故その人に惹かれるのかから考え始める。もしかしたら単純に好みな顔だったとかあるかもしれないが、それなら上のような回りくどい感想は抱かない。つまり何かしら別の理由があって相手に惹かれるわけだ。

「背筋がスッと立ち上がってる姿に品を感じる」
「自分の着たい服を着こなすセンスが羨ましい」
「目の前にある食べる味わう楽しみを知ってる」

 そのときによって生まれる理由は様々だが、そこから相手の品格とやらを見いだして相手を尊敬して、もしそれ以上のものを感じるようであったら、私はその相手のファンになったと認識するのだ(当日すれ違った人にそこまで感じたことないが)。

 一般的にはアイドルや歌手、小説家など自分とは遠い世界の人に抱く感情なのだが、もし友人や恋人、先輩後輩など身近な人でもその人に尊敬の念を抱いていたら、自分はその人のファンなのだ。

 そして問題はここからで、自分が誰かにそう感じるように自分は誰かからそう感じられたことはあるのか。誰かの中に自分がいたことがあるのかどうか。

 人間生きている間はなるべく愛されたいものだ。道端の犬猫とかなら比較的高い確率で愛されるけど、家族以外の言葉を発する系のものにはまだ愛されたことはない(逆に道を歩けばセミやカナブンから突然ハグされるし、蚊においては好きすぎて血まで吸われる)。

 このように人より経験値の少ない道を辿ってきたのだが、ただ一度だけ異性から顔をまじまじと見つめられたことがある。あれは高校生ぐらいのとき、学校の帰りに晩ご飯の買い物する母と待ち合わせして、スーパーで買ったものをテーブルでビニール袋に詰めていたとき、向かい側から幼稚園ぐらいの知らない女の子が私の顔をジーッと見つめていた。最終的には向かいのお母さんが荷物詰め終わって手を引っ張られても私の顔を見つめていた。

 横にいた母も気づいていたらしく「良かったじゃない、一目惚れされて」とまで言ってきた。あきれて「一回りも下の子に惚れられても大して嬉しくないわ」と返すと、「でも同じ年齢が運命の人とは限らないからねぇ」と急にメルヘンなことを諭してきた。

 自分より一回りも下の人と付き合う人はどういう人なんだろう。

 幼少期に見たアニメも遊んだゲーム機も違う人と対等に付き合える神経など残念だが私には持ち合わせていない。だけど将来あの子が何かしらの形で再び出会えたのなら、紛れもなくあの子は童話のヒロインだ。

 我が家に着いて、キッチンに買い物袋を置いてからリビングで座って休憩し始めたとき、エアコンのリモコンを持った母が私の顔を見つめながら私を呼んだ。

「ちょっと、こっち向いて」

 今日はどうした、やっと魅力が開花した日か。 

「あんた鼻クソ付いてるわよ」

 ……。

 ほじったら取れた。

 鼻クソかよっ!!

 きっとあの子は裸の王様を見抜いた子だ。

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【あとがき】

 前半素敵そうな教え書いてからの後半クソ展開。

 クレームつけたいかもしれませんが当時気づかないまま半日過ごしていたのだから、その分の対価で目をつぶってください…。

 現実「愛するより愛されたい」という逆キンキキッズ現象が人の本音にあると思いますが、全員から愛される方法って実は簡単です。

 今の世の中は愛されたい願望の人(受動側)がほとんどだと思います。もし世の中を狭い部屋にした場合、誰も話しかけようとはしません。そこに誰にでもフレンドリーな愛する人(能動側)が現れたらどうでしょう。

 人間心理的に愛されたい人は愛する人の味方になるので、結果的に全員から愛されます。それは一国の大統領でも、カルト宗教の教祖でも、その経緯はほぼ同じで関わった以上は「悪法も法なり」です。

 誰かから愛されたい気持ちは人として当然の気持ちで、何もおかしいことではありません。もちろん世の中には、そう苦しむ人を誹謗中傷する悪人がいますし、苦しいからこそ手を握ってくれる心優しい善人もそれ以上にいます。だけど、その気持ちに漬け込んで貴方の弱い手に自分の都合を握らせる悪魔がほとんどです。

 悪魔を見抜くことは大変難しく、希少な善人の顔を忠実に再現した仮面を被っています。だから誰が仮面なのか誰も分からないし、ただでさえ冷静でない弱った心で識別するのは困難です。

 けれど唯一仮面を見抜く方法があります。仮面は心が空腹な貴方に魚を与え、真の善人は空腹な貴方に釣りを教えます。

 もし今の貴方が空腹なら私は貴方を救えません。顔も名前も知らない貴方を救いにいくなど出来ないからこそ一人で生きていける手段をここに書きました。それがせめてもの釣りの教えです。

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 エッセイだから伝わらないが、私は人より声が低い。

 マンガじゃないから伝わらないが、私は人より童顔である。

 そんな特徴ふたつを抱えているが、これは足し算みたいな単純な話だ。けど、これが掛け算となると事態は急変する。

 顔と声のギャップが凄まじい。

 家族も認めるほど凄まじいのだ。

 たとえばタラちゃんの声が穴子さんだったら気持ち悪いであろう(まあ、その逆の方が更に気持ち悪いが…)。

 何も生まれたときからコレだったわけではない。

 もちろん顔から想像する声をしていた。

 けれども思春期頃の男子には「声変わり」という大人への転換日がある。

 そう、ウィーン少年合唱団のスターソプラノが突如起こったXデーにより声が出なくなり、彼と一緒に世界公演旅行を願ったライバルが彼主演のオペラ公演で後ろ幕から吹き替える計画を立てる。そんな淡い青春映画も誕生させちゃうアレである。

「そんな映画があったんですか!」

 1963年公開の『青きドナウ』というディズニー映画のことなのだが、1秒も観たことない私にはこれ以上細かく書くのは無理なので、興味のある方はお近くのTSUTAYAかGEOに寄ってほしい。

 なんだか脱線してしまったので話を戻す。

 その前に一つ個人的な話を。

 実は私は花粉アレルギーを抱えていない。だから毎年春先は苦しむことなく過ごしてきた。でもその反動か幼児にしてひどいハウスダスト系の万年アレルギー性鼻炎者になった。

 何が言いたいかというと、私が通っていた中学校はご存じの通り荒れに荒れて掃除もせず……

◆ヤニ色の壁紙
◆ホコリで装飾された棚
◆校庭砂で薄くフローリングされた床

 そんなハウスダストパレードな教室は間もなくして私の鼻腔を黒部ダムへと開拓させた。

 映画『黒部の太陽(1968年:日本)』でトンネル掘削中の破砕帯崩壊で石原裕次郎らが激流に飲み込まれたように、この鼻の破砕帯も登校日は臨場感満載で崩壊していた。

 授業1回につきポケットティッシュ1個消費する鼻はただでさえ喋りづらい言語と出にくい濁声に鼻声要素を加えた。

 そうなるとカオスだ。

 国語の朗読で笑われる、音楽の合唱で笑われる、手を叩いて笑うな先生よ…。

 話すこと喋ることが怖い。

 通学路を歩いていても通りすがりの人からも笑われている気がした。

 音楽プレイヤーに入っている歌手みたいな聞き取りやすく愛される声になりたかった。

 時が経って2004年12月31日。15歳。中学3年の冬。時間は19時30分。

 年末を明けて直ぐに高校の面接試験を控えていた私は私たち兄弟の部屋のテレビ前で新聞紙片手に待ちかまえていた。

 この年の第55回紅白歌合戦にリスペクトするポルノグラフィティが11月にリリースした『黄昏ロマンス』を披露する。

 これはファンとしてリアルタイムでチェックしたい!

 だけど父は昔から紅白歌合戦が大嫌いで毎年観てこず、恥ずかしながらこの歳まで紅白歌合戦の存在すら知らなかった。

 そして片手の新聞紙にはポルノグラフィティが何時何分に出るかなんて書かれてないから、こうやってリビングより小さいテレビにすがりつく羽目になったわけである。

 ちなみに兄は大学生最後の年末ということで、どこかに外出していて居ない。

「一体いつになったら出てくるんだよ…」

 つまらなく待っている間は他の歌手で楽しめば良いのだが、あいにく他の歌手には一切興味がなかった。

 当時持っていた音楽プレイヤーも入っているのは大好きなポルノグラフィティの全アルバムと、母と兄が尊敬する山下達郎の『RIDE ON TIME』と、情熱大陸と世界遺産のオープニングが入った『image』、これしか入れてなかった。

 どのみち他曲に興味ないし、容量も256MBだし、それ以上必要ない。

 清木場俊介のいるEXILEを流し見しながら思った。

 どうやらこの紅白とやらは女性ボーカル(紅)⇔男性ボーカル(白)が入れ替えで進行するらしい。

 つまり最も早く出るとしたら、この今映っている紅組枠の松浦亜弥とやらの次の白組枠に出てくる可能性もなくない。

 松浦亜弥が終わった。

 アナウンサーよ、次は誰だ?

「次の出場者はnobodyknows+です!」

 くそっまた違うのかよ…。こっちだってヒマじゃないんだよ。

 しかも次の曲紹介、棒読みのオリンピック選手がやるのか。スポーツ興味ないから知らないよ。誰だよ、吉田沙保里と伊調馨って…。

「「ノーバディーノーズで『ココロオドル』」」

 この二人が読み終わった瞬間、事件が起こった。

 ENJOY!!!!!

 それは独特なマイク持ち方した男5人が鼓膜が震えるほどの重低音から始まり、今まで聞いたことない速度のアップテンポとつたない言語野が追いつかなくとも気持ち良く感じるロゴスの速い羅列。

 こ、これは何なんだ…!?

 片手の新聞紙を手放して、1997年ポケモンのポリゴン事件のときと同じくらいの至近距離で画面にすがりついた。

 何もかもが未知なのにドキドキする…。さっき紹介された曲名通り「ココロオドル」!!

 曲開始30秒が経った辺りか、それはそれは底なし沼のような重低濁声がお隣のスピーカーから飛んできた。つかさず私もスピーカーに飛びついた。

 当時の感触を率直に申すと、ハンマーで頭かち割られるほどの衝撃だった。

 この男の声はお世辞にも全然キレイじゃない。なのに、なのに、手が汗ばむほどカッコ良くて涙が出てきた。

 無意識にリモコンで音量を上げた。

 数秒後には後ろのドアからも早い重低音テンポが飛んできた。

「うるせぇぞゴルァ!!!」

 紅白が嫌いな父だ。

 昔から父には逆らえない…でも今の方が逆らえない。

 ドアノブの鍵を閉めて、耐えた。

 今この部屋は私だけの聖域だ。

 目の前のブラウン管から革命が叫んでいる。

 ドン ドン ドン バンッ!!!

 これは後ろのドアからだ。どうやら蹴り始めたようだ。

 怖い、でも、いいぞ。

 自分の中の妬み全てが崩れてく。

 さっきの男の単独パート2回目が来た!

 ベルリンの壁は崩壊した。

 未開の月に足跡が残った。

 これは(私の)歴史にとって大きな一歩だ。

 彼らがNHKホールにENJOYとコールを求めてる。

 さすがに恥ずかしいから小さくレスポンスした。

 演奏時間3分の革命が鳴り終わった。

 ハァ…ハァ…鼓動の音が執拗に響く。あ、後ろのドアか。

 テレビを消して、鍵を解いたドアを静かに開けて、

「ご、ご迷惑かけて…すみません…」

 リビングから漏れてくる年末総合格闘技の攻撃トドメの一喝並みにめちゃくちゃ怒鳴られた。

 ベソかくぐらい怖かったけど悔いはない。何より壊してくれたハンマーをもっと知りたい。

 その前にポルノの新曲見届けないと。

 あっ始まった!

 やっぱり良いな!!

 2005年正月最初の仕事はパソコンで昨日のグループ名と、あの濁声男の名前を調べることだった。

 グループ名は『nobodyknows+』。主に名古屋を中心に活動している6人組のヒップホップグループ(現在は5人組)らしい。

 ヒップホップとは何ぞや?

 ウィキペディアによると「リズム、ラップを同じ調子で繰り返すリズミカルなミュージックからなる音楽のジャンル」を指すらしい。

 ラップとは「小節の終わりなどで韻を踏みながら、リズミカルに喋るように歌う方法の事」。

 つまり言葉遊びか!

 大好きなお笑いにも通じる!!

 えーこれは面白そう!!!

 もっと色んな曲を聴いてみたい!!!!

 そして昨日の濁声ラッパーの名は『ノリ・ダ・ファンキーシビレサス』。その凶悪なダミゴエフロウとインパクト抜群の名前から、個性的なメンバー揃いの中でも一際強力な光を放っている。

 彼は私にとって濁声コンプレックスを取り除いてくれた恩人。そしてヒップホップという新しい世界を教えてくれた恩人。

 声低くたって良いじゃない、カッコいいもの!!

 これでは「相田みつを」だな…。

 私は面接試験を終えた後、TSUTAYAでココロオドルが収録されたアルバム『Do you know?』を借りて音楽プレイヤーに入れた。

 こうなると他のグループも聴きたくなる。

 パソコンとTSUTAYAを往復して、

◆ケツメイシ
◆韻シスト
◆RIP SLYME
◆m-flo
◆TERIYAKI BOYZ
◆RHYMESTER
◆KICK THE CAN CREW
◆KREVA
◆ZEEBRA

 英語圏は何を言っているか、よく分からないから後回しにして……この容量では全部は聞けないな、卒業祝いに貰ったお小遣いと全財産をはたいて1GBのウォークマン買おう。

 よし、このお笑いと科学と音楽を抱えて4月からの高校生活を楽しもう!

 幸いにも少し遠い進学先には私をいじめていた生徒は1人も居ない。たぶん今なら人生やり直せる。そういう韻が入った歌詞の曲を探して、そしてまた音と言葉が紡ぐ芸術に溺れた。

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Do You Know?

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【あとがき】

 それからはカラオケ行くとき必ず「ココロオドル」を入れてます。

 まあ、人生2回しか行ったことないんですが…。

 彼の声を知ってる人なら分かると思いますが、自分が歌うとき本当にあんな声です。

 でも自分はこの声が好きです。

 だから2012年11月11日に放送された『モヤモヤさまぁ~ず2 名古屋(後編)』で居酒屋からシビレサスさんが出てきたときは本当に驚いたというか嬉しかったなぁ…! いつかあの居酒屋に行って感謝の気持ち伝えたい!!

 それから6年もの期間があったというのに、未だに行けていない。あの居酒屋の名前すら忘れてしまった。まだいるのかなぁ…。

 忘れるほど熱が下がってしまった原因の一つに、最近ラップを聞く機会が減っていました。

 実はラップおよび音楽と同じくらい好きなものに映画がありまして、ヒマがあればまだ見ぬ新作・名作・珍作映画作品を映画アプリで探して、そして観れる機会をうかがって観ています。

 その観てきた中でも今月10日にGYAO!で観た『ファンタスティック・プラネット(1978年:フランス・チェコ)』という「自分の映画100選」の1つに入るアニメ映画があります。

 

 この(ひどくダサい)予告で分かるとおり、大変不気味である。本編75分間ひたすら不条理な描写(だけど原作が古典のSF短編小説なのでストーリーがしっかりしていて意外と見やすい)が続くが、アニメ・SF・ホラー・クトゥルフ神話・諸星大二郎の世界観を愛する自分には未知たりた、いや満ちたりたものがあった(これが40年前に製作されたんですよ!! スゴくないですか!?)。

 鑑賞後もYouTubeでこの映画の予告(先ほどの動画)を見ていたらコメント欄に「『禁断の惑星』から来た」という声が多くあった。

『禁断の惑星』って、あの『禁断の惑星』?

 たしかに古い映画に『禁断の惑星(1956年:アメリカ)』というSF映画の傑作があるが、あれと『ファンタスティック・プラネット』とは製作国も製作年も全然違うから関係ないし意味が分からない。

 気になるので同じくYouTubeで検索してみたら、この動画が出てきた。



 はっきり言って衝撃だった。

 著作権の関係で書けないが歌詞がブラック効いててめちゃくちゃカッコいい! 韻の踏みかたも秀逸!! 何よりビートの音源が全て『ファンタスティック・プラネット』の音源から構成されている!!! MVも『ファンタスティック・プラネット』だけでなく『禁断の惑星』『博士の異常な愛情(1964年:イギリス・アメリカ)』『π (1997年:アメリカ)』の映像を巧みに組み合わせている!!!!

 一言で表すと、

「暴力的にカッコいい!!!!!」

 こんな曲があったなんて知らなかった…。

 調べると2012年に発表されていたらしい。

 少し関心が離れてたせいで、こんなCOOLな曲を6年も知らずにいたのか…無駄なことしたなぁ…。

 この曲を即ダウンロードして、今も聞きながらこの記事を書いています。

『ファンタスティック・プラネット』個人的にオススメなので、どこか出会うきっかけがありましたら観てみてください!

~以上、長い本編と同じくらい長いあとがきからお送りいたしました~

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