何の気まぐれか、横須賀の軍港を見に行くことにした。

 なぜそうなったのかと訊かれると、「(物理的に結構遠目の)そこに軍港があったから」みたいなベタ発言をしてみたいが、実際は「横浜のパンケーキのついでに見に行く」という表現が正しい。

 余計に「どういうこと?」と思われるかもしれないが、要するに「家族が以前ネットで購入した横浜のパンケーキ店のチケットの期限が近づいてきたのだが、パンケーキだけのために出掛けるのもアレなので、どこか(横浜の)近場を観光してみるか」的な話になって、とっさに私が「潜水艦見てみたい!」と言ってしまったのだ。

 もうおわかりだが、横浜の象徴である横浜港にあるのは豪華客船か貿易船で、横浜の近場で潜水艦があるのは横須賀港である。

 たしかに昔から本物の潜水艦や護衛艦を見てみたかった。だけど、それは「いつか見てみたい」ぐらいの低温熱だったのに、この日の自分は本当に何を思ったのか、たった同じ“横がつく港”だけで「(近くの港に潜水艦があるはず→)潜水艦見てみたい!」と勘違いしてしまったのだ。「とっさの判断ミスは血迷いの範疇」と言うけど本当だね(聞いたことない? そりゃそうだ、今考えた言葉だから)。

 残りの家族はもちろん「!?」な顔をしたし、潜水艦があるのは横須賀港だと当たり前に気づいている。だが同時に「わざわざ遠場の観光地を言うのだから、この子は相当見たいのではないか…?」と深く詮索したのか、「わ、わかった」と認可された。ちなみにこの辺で自分が勘違いしていることに気づいていた。

 東京の品川駅から神奈川の三崎口駅までを繋ぐ京急本線に『汐入駅』という日米の横須賀港が近い駅(横浜駅から30分ほど)があり、そこに海上自衛隊基地とアメリカ海軍基地に停泊する艦船たちを間近に見れる観光クルーズがあるらしく、そのクルーズに乗ることにした。

 お出かけ日和の10月11日、(一部省略するが)横浜駅の京急本線改札口を入って、私が勘違いした横浜港を駅のホームから見守りながら、私たち家族は南へと向かう電車に乗った。

 なんと偶然に乗った電車が急行や特急より上クラスの快特だったので、座席が新幹線みたいな仕様になっていた。めったに新幹線に乗れない身にとっては大変気持ちが高ぶる光景で、許されるならデジカメで撮りたい気分だったが大混雑と社会マナーを優先させて適当な座席に落ち着いた。進行側に向いた座席から覗く車窓はまだ住宅街続きだったが、カバンの文庫や音楽に手を伸ばすことなく、ただ外の目新しさを見つめていた。

 横浜駅から快特2駅目の金沢文庫駅で一度下車した。目的の汐入駅が快特経過なので、次の普通電車に乗り換えるためだ。家族揃ってホームのベンチで待機していると、目の前に時刻表では回送扱いの不思議な形の黄色い電車が止まった。その電車は小さい2両編成で、その間に屋根のない荷台車仕様になっていた。そう京急電鉄の資材運搬用電動貨車『京急デト11・12形』であった。

CIMG0227

 まだ雑誌やネットでしか見たことなかったので、新幹線よりも貴重な対面を果たしたからベンチから大興奮でデジカメを構えたが、あっという間に発車してしまったので上の1枚しか撮れなかったけど、そのおかげで1枚に愛着が湧いて今もニヤニヤしてしまう。

 2分足らずで次にやってきた普通電車は先ほどとうってかわってガラガラで、先頭車両の運転席が見える窓には誰も立っていなかった。なので、わずか6駅間だが先頭の車窓を楽しんだ。各駅停車する毎にドアから潮の匂いが重ねて運ばれていき、車窓の外もだんだん海街らしくなっていった。

 汐入駅のホームに着いたときには空はほぼ快晴で、暑さも9月上旬のような一歩引いた状態だったので、思わず黒いジャケットを脱いで、腕まくりしたシャツ1枚姿で潮風が吹く改札口を抜けた。

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【あとがき】

 勘違いとはいえ序盤が不条理なわりには後半の当日は結構充実してて、描写も風情を意識して書いてしまいます。

 そのせいで更新24時間以内で書ける文量というのが限界ここまででございます…。

 もちろん横須賀港では写真もパシャパシャ撮って、どの艦船がどうとか、より豊かな記事にしたいと思うので、まことに勝手ながら数日ほど毎日更新を休止させてもらいます。

 なるべく早くに公開できるよう頑張りますので、しばらくの間お待ちいただけたら幸いでございます。

 このように本当に運営の情緒が安定しないブログですが、これからもどうぞよろしくお願い致します。

 ――渡辺綿飴

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